制作で沼らないためのコツ

制作職をしていると、「プロでしょ?なんかすごいのつくってよ?提案してよ??」といった、漠然としたものを作らされる現象というものがあります。

要するに営業は提案をする上で、こんなのもありますよ、こんなのもありますよ??と企画を出していき、最終的に得意先がお買い上げしてくれればいいと考えているのですが、実際には営業が得意先の課題や目的を全く把握していないこともある訳です。成約させたいのか、認知目的なのか、とりあえず連絡をいれてほしいという営業ツールなのか、まったくわからないクリエイティブというものが世の中には存在します。

そういうときでも、なんとなく仕事を受けてやってしまうと、風呂敷はどんどんどん広がっていき、これじゃない、これでもないと、得意先に出したものを跳ねられ、売上増加に全く寄与しないどころか、心がつらくなってきます。また予定していた以上に時間を取られる原因になります。

そういったことを防ぐためにまず、そのクリエイティブの目的は何か。そもそもの目的自体に現実性はあるかを考えることが大事です。例えば筆者の場合、年間300万近くするサービスをDMだけで刈り取ろうとしている企業があり、プロでしょ?すごいのつくってよ??と言われても、「DMの力には限界があるんだよなぁ。せめて、アウトバウンドの活動をしないとそのサービスの成約は不可能だろうな。」と感じたことがありました。しかし、世の中、プロなら凄いメソッドを持っていて、なんでも売れるようになると思っている人も少なくありません。マーケティングの基本は、まずユーザーのことを考えて、得意先の意向をくみ取りそこを精密に組み立てていくことにあるので、デザインのプロだから、魔法のメソッドで解決みたいなことにはならないのです。

ここまでの思考の過程をふっとばして、は~いつくりま~すといったことを言って、目的も課題もただただ仮説を大量に考えていく作業をデザイナーはやってしまいがち。はっきり言って、非常に無駄です。
得意先にとりあえず言われたからつくった、営業に言われたからつくった、という動きはまずやめましょう。単純に予算消化したいだけなら、あ~じゃあ入稿データ渡すんでゴミでも刷っててくださいという話になるので。とは言いつつ判断基準は非常に難しいところ。得意先の意向が目的・課題がしっかり見えていない制作物であれば、まず確認する癖をつけないと確実に沼ります。

とりあえず来週構成案だして、スケジュールだしてと言われますが、鵜呑みにして仮説を何個も立てて風呂敷を広げず、基本的に目的と課題がはっきり見えてこない制作物は、まず確認することで大幅に時間の節約になります。これは前回のオペレーターに成り下がるなという内容に通じる話で、ただただ言われたことをそのまま鵜呑みにしてやりがちな人に多い現象なので、スケジュールが漠然としてたら、そもそもの話の内容が漠然としてたら、こちらから動いて言質をとって、ひとつひとつの作業を正確にしていく作業も仕事のうちなのです。