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【初心者向け】今、香港で何が起こっているのか

2019年、ここ最近の香港デモは激しさを増している。催涙ガス類から身を守っていた傘はもう役に立たなくなり、実弾で撃たれる少年など、死者も多数。逮捕者は1000人を超えている。既に6ヶ月続いているデモだが、香港国民は今回のデモで何を勝ち取れるか。

こちらは親中側のツイートで、デモ隊と警官隊との衝突のエスカレート具合がわかる。このツイートを要約すると、「抗議活動では、使われる武器が傘とスティックからガソリン爆弾と巨大なカタパルトにアップグレードされた、なんてひどい奴らだ!」というツイートなのだが、そもそも武器を持たない香港市民に対して、催涙ガスや放水銃、ゴム弾や実弾を使い始めるなど、常軌を逸した暴力行為を行い香港国民が傘だけでは身を守れなくしたのは政府側だ

中国政府は抗議が起こる度に、過剰な暴力によって鎮圧してきた歴史がある、いわばその道のプロなのだ。しかし香港市民が巨大な勢力に対しても命がけでひるまず戦っている姿はホットだ。

過剰な暴力による強制排除なんかで鎮圧されてたまるか!!という熱い意気込みが伝わってくる。

12月28日には、中国本土に近い上水のショッピングモールで民主化デモ参加者を少なくとも警察が15人拘束した。この他九龍湾でもデモ参加者が身柄を拘束されている。

一国二制度

香港デモを知る上で非常に重要なのか一国二制度という1997年にイギリスから香港が返還された時に導入されて制度を理解すると話が早い。

香港が150年以上イギリスの植民地だったことは誰もが知っているだろう。1842年のアヘン戦争後からイギリス領だった香港は1950年代に経済成長を大きく遂げた。

1997年にイギリスから返還された香港では、初めて一国二制度が導入された。返還後の50年間に渡って、香港に外交と防衛を除く高度な自治などの特別な地位を保証した。つまり中国政府は、香港の政治や経済、法制度に50年間は、手をつけないと約束しているのだ。

しかしそれから20年程たった今、返還後中国政府は香港の選挙や言論の自由に干渉し、制度が守られていないと主張する国民が多い。2013年以降香港では、選挙制度への干渉に抗議する市民デモが頻発しているのだ。

筆者が特に感じるのは、若者のパワーだ。雨傘運動で日本語広報を担う橋渡し役として一躍有名になった現在23歳の周庭(Agnes Chow Ting)氏や中国からの独立を訴える活動家も多く、パワーを感じるのだ。

香港大学が実施した調査では、18~29歳の回答者のうち75%が中国政府への不信感を持っている。そして、85%が一国二制度を信用していないとのこと。

そもそも雨傘運動って何があったの?

雨傘運動は、中国共産党が民主派立候補者を実質的に排除する選挙方法を決定したことに対して抗議する数万人の学生・市民が繁華街を占拠したもの。2014年9月26日から、香港の高校生と大学生を中心とした、授業のボイコット及び「真の普通選挙」を求めるデモを高校生や大学生が始めた。

結局『一国』の下で、きれいに線引きされた二制度。これは、一方は一党独裁でもう一方は自由主義と異なる体体制であることを示すが、一国の下にいる限りは、その支配から逃れられないのだ。

2019年のデモの目的は?

2019年に起こったデモでは、逃亡犯条例改正案に反対するデモが発端となり、現在では「五大要求」を達成する反政府デモとなっている。

五大要求は、

  • 逃亡犯条例改正案の完全撤回
  • 普通選挙の実現
  • 独立調査委員会の設置
  • 逮捕されたデモ参加者の逮捕取り下げ
  • 民主化デモを暴亂とした認定の取り消し

デモを受けて林鄭月娥行政長官は7月9日に「改正案は死んだ、完全な失敗だった」と発言し正式撤回を表明したが、抗議側は五大要求はひとつも欠くことはできないと、デモを継続している。