美大生の就職先ってどうなの?

巷でよく噂される、「美大なんて行っても就職できない」というのは本当でしょうか。言います!嘘です!!

デザイン業界や広告業界は、実際は人手不足。世の中にある大量の新聞広告やバナー、商品パッケージからのぼり、ファミリーレストランのメニューから看板、ポケットティッシュまで。これらは誰が作っているのでしょうか。デザイナーがつくっています。しかし世の中の8割以上のデザイナーの仕事はあまり楽しいものではありません。デザイナーと言っても色々なデザイナーがいます。カルピスで例えると、原液をつくるデザイナーと水で薄めるデザイナーの2者います。

原液をつくるデザイナーは、ほとんどいません。UNIQROやSEVEN ELEVENCIで知られる佐藤可士和やLOFTや西武のデザインをした田中一光などが注目されがち。しかし世の中のほとんどは、チラシの価格を変更したり、どこにでもありそうなパンフレットやポケットティッシュのデザインをしている、原液を水で薄める仕事をしているのです。その他封筒のリサイズなど、地味な仕事は無限にあります。いくら人がいても足りない上に、デザインソフトの使用方法さえ分かれば、デザインセンスなんて皆無でも務まってしまう仕事ばかりなのです。

何度も言いますが世の中のほとんどのデザイナーには、センスがありません。勉強のようにデッサンをやって、デザインの勉強をなんとなくしてきたどうしようもない人ばっかりなのです。ぶっちゃけ、センスが0に近くても(というか0でも)、誰でも出来ます。デザインソフトを使った単純労働者に過ぎません。その上、修正や仕事が物量が多く、時間に見合った給料は見込めないでしょう。そういった仕事なら、とりあえず美大を出ていれば5万とあります。つまり就職には全く困らないのは現状です。すぐ辞めたくなるでしょうがね!!

では、デザイナー以外の人たちはどのように卒業後暮らしていくのでしょうか。よく見かけるのは、家が非常にお金持ちな学生。美大の学費は年間200万程しますが、その学費をまず払える家庭というのは最低条件です。筆者は美大中退者ですが、友人はフランス出身だったり、外交官の親を持っていたり、IT会社の社長の子供や大企業の創業家ばかりでした。そのため、学生時代に何浪しても何留してもいくらでも彼らには関係ありません。3浪3留して、大学院に入って、また海外の大学院に入り直してを繰り返したり…。基本的に彼らには生活なんてもちろん保証されているし、もはや生活できるなんて当たり前でそれより上の部分で遊んでいるだけという人が多いです。「就職どうするの?」の前に基本的な生活が盤石な基盤によって支えられていて、卒業後は何十年も永遠と絵を描いていても(美大生の間では、絵仙人と呼ばれる)全然大丈夫ということです。売れない絵を描いては個展を自腹で開いて、たまに旅行に行って絵を描いてといった感じで人生を楽しむみたいな。なので、そこまでの盤石な生活基盤を持っていない大半の人は、なんとなくデザイナーになって苦しい労働生活を強いられるでしょう。ちなみに、制作会社も広告会社も、非常に激務で地味な仕事の連続です。筆者は元大手広告会社にいましたが、2徹しても返してもらえず、3日目の朝3時にようやく解放されるような状態が数ヶ月続きました。プライベートを考えたいなら、別の道を進む事をおすすめします。基本的に美術は金持ちの遊びです。家庭に美的資産が多い人や旅行で海外に何度もいけるような人はアイデアの引き出しが増え、成功が近づきます。その分原液をつくる仕事により近くというロジック。つまり、複合的に考えて資産が少ない人は非常に不利になるのが美大生であり美術業界だと思います。そうでない人で成功している人は余程行動力があって引き出しに自分でいくつもの情報を高速で仕入れている人ではないでしょうか。