デザイン制作のスピードとクオリティについて

ロゴ制作やデザイン制作において、スピードは非常に重要だ。スピードが早いからといって、クオリティが駄目な雑な仕事という意味ではなく、クオリティが高い人はしっかりとスピードも速いというイメージを最近、優秀な人たちと仕事をするなかで感じるようになったのでここに書いておきたい。

 

まず、作業する前にゴールを決めるというのは様々な場所で言われていることなのだが、そのゴールにいくまでの道筋をしっかりと気にするべき点を抑えていることが大事になる。

 

例えばロゴ制作なんかはその最もたる例だ。ロゴ制作というのは、基本的にデザイナーがやる中でも難易度が高い仕事になる。絵を描くようにダラダラとデザインを進めていると、よく細かい場所には目が行き届いているが、全体で見ると何を表現したいのは分からなくなってしまっていたりすることがよくある。いろいろなところから素材を集めてなんとなくそれっぽいものを作っても、どこか違うものが出来上がるのだ。ではどのようにデザインは進めるべきなのか。例えばロゴでいうならば、

 

・文字だけのロゴ(タイプフェイス)

・タイプフェイスに少し装飾を加えたもの

・シンボルやアイコニックなアイデア

 

この3つをつくることをまず目標とする。これを先に考えないで手を動かし始めると、似たようなアイデアがでたり、同じアイデアに固執しているうちに時間だけがすぎていく。

 

情報を集めたり広く考えたりすることは、デザインを詰めていくことは大事なことなのだが、この3方向のどこにどう落とし込めるかという視点を持って、情報を集めていくことが

素人とプロ、あるいは上手い人下手な人、スピードの速い人と遅い人の違いになる。

 

まず、視点を考えてから手を動かす時のコツは、考えられるアイデアを2個以上持つことだ。例えば、グラフィックデザインで何か伝えたい課題があったとして、大きな方向性をしっかり自分の頭にたたき込んだ状態であるか否かが鍵だ。これを原稿で伝えるためには、こういうアイデアとこういうアイデアがまずあるな。そのためにレンポジなどでいろいろな表現方法を集めて試してみて、やっぱりこっちか。という常に正しい選択肢を選ぶために情報を集めてこっち。こっち。と進んでいくと最終的に正解にたどり着くという訳だ。

 

大目標を決めれるような視点を身に付けられるようになったら、あとはプレゼンができるようなイメージでデザインを詰めていけばいい。なぜここにこういう形があるのか、こういう色なのか、人に説明するようにデザインを進めていく。そして、整列や整頓などのガイドを引いて視差を調整していく作業なんてのは最後にやればよい。これも、途中途中のタイミングでやる人がいるが、普通に時間がもったいないと思う。

 

これはさらにという話になるが、タイプフェイスに限って言えば審美的なタイポグラフィとしてロゴに最適な書体というのは、意外と数少ない。そういった数少ない書体をまず頭に浮かべられる知識と経験が大事だ。ああ、これはこの書体とこの書体でアイデアを出せばまずはそこそこのものが出来上がるなという選定のスピードも重要になる。実際はそこにたどり着くまでにいろいろな書体を他の案件などでとんでもない時間をかけて探している訳なのだが、そういった時間が最終的にスピードをあげることに繋がるので、経験がない人がとりあえずヘルベチカみたいなことをやるのはやめてほしい。こういう時はこういう書体が効くみたいな知識を人よりたくさん持っていれば、その蓄積もスピードを上げてくれる。